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アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第267号

■■■ September 2025 第267号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数1,138】■■■■

__今月号の目次 Contents__________________

□ フィールド便り…………. 難民キャンプでの調査許可取得をめぐって
□ メルマガ写真館…………. 歌い刻むジャム作り
□ お知らせ………………. ◆研究講演会「イラン音楽研究者Yalda Yazdani博士研究講演会”The Politics of Musical Participation: An Ethnographic Study of Female Singers in Post-Revolutionary Iran”」
□ 最近の出来事………………… Facebook・X(旧Twitter)情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「難民キャンプでの調査許可取得をめぐって」
中西萌(グローバル地域研究専攻)

ヨルダン最大のシリア難民キャンプ、ザアタリは、2012年沙漠の広がる土地に設置されて以来、内戦から逃れた多くの人々が暮らしています。そこで調査許可を得るのは、「砂漠を渡るラクダ行商人並み」の忍耐力が必要でした。

なぜなら、キャンプ運営上の課題に対応するうちに整備が進み、現在では調査許可にヨルダン内務大臣の承認が必要だからです。

どうすれば調査できるか悩んでいた頃、数年前の方法を教わり、所属研究科長のサインと公印を添えた申請書類一式を準備し、メールで当局に提出しました。返事は一向に来ず、知人のヨルダン女性に当局への連絡を頼みます。何度目かの電話で担当者と繋がり、今はサイトで電子申請する指示がありました。アラビア語サイトで英語表示に切り替えると情報の8割が消える仕様に苦戦しながらも、書類を提出しました。しかし、受理通知が来ることはありませんでした。

彼女に再度相談すると、直接当局に書類を持参し、その際に「男性を連れて行け」と助言されます。知人男性に同行してもらうと、当局ではお茶にお菓子、日本の歌にアニメ動画まで振る舞われる歓迎を受け、つい苦笑しました。男性がそばにいると物事がスムーズに進むという、まさに中東マジックです。担当者が不在でも代わりの方が対応し、手続きを完了。内務省での承認を経て2週間後に返答があるとのことです。ですが、その後も音沙汰なく、内務省への電話も応答なく、1ヶ月後にフォローアップに赴くも進展はありませんでした。因みに知人男性は仕事のため同行出来ず、1人で挑んだ結果でした。

最初の準備から3ヶ月弱が経った頃、突然知らない電話番号から許可が下りたことを知らされ、当局で許可証を受け取りました。粘ってよかった。毎度お馴染みのアラブ仕草に振り回され、やきもきすることもありつつ、この地で感じた人々の温かさやユーモアに、どこか憎めない中東でした。


写真1. キャンプ内で市場の始まりの道
写真2. その市場で購入できるシリアのお菓子
写真3. ロバが牽引する荷台や移動手段はここでしか見られない


(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「歌い刻むジャム作り」
秋田 日和(グローバル地域研究専攻)

青空の下、音楽に合わせてリズミカルに包丁を振り下ろす音と歌声が響きます。私が滞在しているインドヒマーラヤの麓の学校では、「Bright Head, Kind Heart, and Skilled Hands」をモットーに、従来の教育法に捉われない実践的なカリキュラムで教育を行っています。この日は杏ジャムを作るため、村に3泊4日のキャンプに来ました。先生も生徒もみんな手をベタベタにしながら杏を刻み、煮込んでいます。収穫から瓶詰めまで自分たちで行ったこのジャムは、自分たちで食べるのはもちろん、販売もします。肝心のお味は…「マー スキルモ!(とても酸っぱい!)」味見した私がびっくりしてそう言うと、先生は笑って鍋に砂糖を追加しました。

写真1:ビニールシートに杏を広げ、粒がなくなるまで刻む。音楽に合わせてノリノリ
写真2:刻んだ杏を煮込む。先生(手前の赤いバンダナ)も一緒に作業
写真3:4日間で合計1000個以上のジャムを作った。1番小さい150mlの瓶で270円ほど

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/
pfbid02pfXRrLymZHFEHNFWsLLxpPgckobXURR9ui34WZdFdo2znnd5HHikS8FjKz1B9wEvl

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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□ お知らせ
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◆研究講演会
イラン音楽研究者Yalda Yazdani博士研究講演会のお知らせ
【日時】2025年9月25日(木曜日)15:00~17:00
【場所】 京都大学本部構内 総合研究第2号館 4階AA447(会議室)
【プログラム】
Yalda Yazdani (University of Siegen) “The Politics of Musical Participation: An Ethnographic Study of Female Singers in Post-Revolutionary Iran”

主催:ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センター(KR)、京都大学
共催:イスラーム地域研究センター(KIAS)、京都大学
当該講演会は下記の助成金の研究活動の一環として実施されます。
「スーフィズムの総合的研究:思想・文学・音楽・儀礼を通して」(科研費 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))、JSPS JP21KK0001)
「非アラブにおける穏健イスラームの研究:インドネシア・パキスタン・トルコの事例から」(科研費 基盤研究(A)、JSPS JP22H00034)

本講演会のポスターは以下のURLからご覧になれます。
https://kias.sakura.ne.jp/krcss_ku/blog/2025/09/05/9%e6%9c%8825%e6%97%a5-yalda-yazdani%e6%b0%8f%e7%a0%94%e7%a9%b6%e8%ac%9b%e6%bc%94%e4%bc%9a/
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■ 編集子より From the Editor
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 酷暑も一段落し、心身ともに落ち着きを取り戻せる季節になりました。だからこそ、研究の熱は冷ますことなく、これまでのフィールドワークの成果を最大限に活かして、年末に向けて実りあるアウトプットにつなげていきましょう。(H・I)
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編集/発行:
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