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アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第225号

■■■ March 2022 第225号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数983】■■■■

__今月号の目次 Contents__________________

□ フィールド便り............. バーで仏教を学ぶ
□ メルマガ写真館............. サリーを着ないネパール人、着物を着ない日本人
□ お知らせ............................ オープンキャンパスの開催
□ 最近の出来事..................... Facebook・Twitter情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「バーで仏教を学ぶ」
石内良季(グローバル地域研究専攻)

ブータンにおいて音楽は需要な位置を占めます。寺院や民家の仏間で執り行われる法要には、だいたい五人一組になった仏教僧がドゥン(ロングホルン)やグ(太鼓)、リモン(シンバル)といった楽器を奏で、重厚な声で経文を唱えます。法要もクライマックスを迎えると激しさを増し、ひとたび終わってしまえば、村の静けさが戻ってきます。

似たような場面は首都のバーでも見られます。そこでもだいたい四人一組になった若者がドラムやギター、キーボードを奏で、ボーカルは甘い声で「ブータニーズ・ポップ(B-POP)」を歌います。演奏も終盤を迎えるとアンコールの声が響き渡り、ひとたび終わってしまえば、街の静けさが戻ってきます。

両者は場所も演奏者も全く違いますが、実は大事な部分で共通しています。それは仏教です。ブータンでは生活の至る所に仏教文化の様相がみて取れます。僧たちは日々僧院や師のもとで仏教の道徳や倫理を学んでいますが、街で暮らす俗人の若者たちも仏教について大変よく知っています。その背景の一つには冒頭で述べた音楽や踊りの文化があります。ブータンの伝統的な民謡や仮面舞踏には仏教的要素が散りばめられ、人々はそこに参加することで仏教的な価値観を学んできました。
バーで歌われるポップスには仏教的な要素なんてないと思うかもしれません。しかし、ブータンの若者たちは仏教の本質を歌詞に巧みに取り入れ、いつもリスナーに問いかけています。仏教というのはブータンで有名な高僧の例えを借りるなら、「お茶とティーカップ」のようなものであり、教える手段(ティーカップ)は変わってもお茶(仏教の本質)は変わらないのです。

Ser dha nge ley saag pai junor 蓄えた富や財産は
Shee wei gaangley baa nii mee 死んだ後に何も残らない
Dari yoe ru naba mee 今日はあっても明日はない
(‘Mey Chi Paa Gey’ – Solly Babaより)

写真1: 首都ティンプーのバーで演奏する若者ら
写真2: 民家の仏間で法要を行う僧ら
(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/5040580199321625

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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「 サリーを着ないネパール人、着物を着ない日本人 」
三木陽子(グローバル地域研究専攻)

「私はあまりサリーを着ません。」

わたしが福岡で出会ったネパール人女性のほとんどは皆こう言いました。サリーというとインドの女性たちが着る民族衣装というイメージがありますが、インドの隣国であるネパールでもサリーは着用されています。しかし最近では若者や中年の女性たち(10代~40代)を中心にサリー離れが増えており、西洋ファッションやクルタ・スルワール(パンジャビードレス)が日常着の主流になっています。わたしが福岡で出会った女性のなかには、「サリーの着方が分からないので着れない」と言う女性もいました。

ですがその一方で、サリーには流行があり、毎年新しいデザインのものが登場しています。最近の流行りは、上手に着付けができなくてもきれいな見た目になる柔らかいシフォン生地のものだそうです。また、福岡でわたしが友達になった18歳と20歳の姉妹は、お祭りや結婚式などの時にサリーを着ると言って嬉しそうにサリーの写真を見せてくれました。
こうした状況は、「普段着物は着ないし、着方も知らない。けれども特別なとき(たとえば成人式や卒業式のとき)はかわいい着物を着たい!」と考える日本人のわたし(たち)と、なんだか重なるように思いました。    

写真1: 福岡市でネパール人女性が経営するブティックの一角。写真に写っているのは、ほとんどレーンガという南アジア地域で履かれているスカートとブラウスのセット。最近ではサリーよりもレーンガの方が人気だそう。    
写真2: 最近の流行りのシフォンサリー。    
写真3: 綿製のプリントサリー。お店の人いわく、プリントデザインのサリーには流行がなく、世代を超えて着用されるそうです。    

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/5040583579321287
(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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■ お知らせ Announcements
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□ 専攻別 2022年度 オープンキャンパスの開催
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◆ アフリカ地域研究専攻 第1回オープンキャンパス2022
日時:2022年3月26日(土)14:00-16:30

*オンライン会議システムZoomでの開催となります。    
*詳細情報と申込方法は後日研究科ウェブサイトでお知らせします。

◆ グローバル地域研究専攻 第1回オープンキャンパス2022
日時:2022年5月21日(土)13:30-16:00

*オンライン会議システムZoomでの開催となります。    
*詳細情報と申込方法は後日研究科ウェブサイトでお知らせします。
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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ウクライナ情勢の惨劇に胸を痛める日々が続いています。ウクライナ難民への積極的な受入姿勢を示す欧州に対しては、ダブルスタンダードであるとの批判的な声も聞かれます。これまでシリアやアフガニスタン、アフリカの各国から欧米を目指した人々の中には、国境付近で足止めされたり、警官に暴力を振られたりするケースが多く見られたことと対比しているのです。メディアの報道にもウクライナの人々を”civilized"として中東やアフリカ出身者と比較するものがあり、SNS等ではuncivilizedというハッシュタグとともに、矛盾を皮肉る投稿が溢れました。地域研究は特定の地域扱う学問ですが、専門の地域外のことを考えないわけではありません。自身の対象地域を相対化して、常に世界に目を向ける姿勢を忘れず、故郷日本の状況とも比較検討しながら取り組むものだと思います。停戦合意が早期に実現することを祈りながら、フェイクニュースに踊らされることのないよう的確に情報を収集し、寄付などの自分に出来ることを粛々とする毎日です。(M.S)
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京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
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