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第197回 「メルマガ写真館」

第197回「メルマガ写真館」
「穀物の多様性について考える:イタリアの食の祭典テッラ・マードレから」
北野 真帆(アフリカ地域研究専攻)

 Terra Madre Salone Del Gustoは、イタリア・トリノで2年に1度開催される世界の食の祭典です。この祭典は、「おいしい、きれい、ただしい」食をすべての人に届けることを目標にする国際的な市民運動のSlow Foodによって組織されています。コロナ禍のために4年ぶりの対面での開催となった今年は、世界130カ国から3,000人以上の代表団が参加し、5日間で35万人が来場しました。
 この祭典で、私たちは農家さんをはじめとした地元の方々と取り組んできた徳島県西部での在来雑穀品種保全活動についての展示をしました。この地域では2018年に急傾斜地農業がFAOの世界農業遺産に認定され、2021年に6つの在来雑穀品種がSlow Foodの「味の箱船」に登録されています。
 Slow Foodによる活動テーマのひとつは農業生物多様性の保全です。今回の祭典では世界中から穀物の種や品種が集められ、私たちも徳島のシコクビエ(ヤツマタ)を提供しました。こうして他地域の穀物と並べて展示されることで、徳島では保全対象とされているシコクビエも、アジア・アフリカのさまざまな地域で日常的に食べられていることを実感しました。とはいえ人類が主食として利用する穀物は、米・小麦・トウモロコシに収斂しつつあります。食料安全保障や生物多様性保全を目的とする市民運動に、これから研究者としていかに関わることができるだろうかと考える機会になりました。

 

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0rLETdsgkjAz3RfKR5JWfDggpsq4PkM3qavZ76WLxDA1ReyRGoDBnNQyQG1hUU4Bxl
写真1:徳島ではヤツマタと呼ばれているシコクビエ(finger millet)は、ケニアやマラウィ、インドなどで栽培されている。
写真2:再生をテーマにした今回は、トリノの旧工場跡地でおこなわれた。
写真3:徳島で生産されたシコクビエのお菓子を食べてもらう。

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