ASAFAS 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
インターネット連続講座
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  第六回 「〈開発〉という体験 スマトラの村の歴史から
東南アジア地域研究専攻 加藤剛(地域進化論講座)
 
 

Contents

1. 〈開発〉というもの

2. コトダラム村

3. 好きやねん

4. 〈真昼の闇〉と20世紀の始まり

5. 「年寄りも若返ったとき」

6. 〈クーポン時代〉のヒーローたち

7. イスラーム知識人の誕生

8. 公のために

9. スカルノのインドネシア

10. スハルト開発体制と村落

11. 消費される開発

12. 宴のあとに

13. 〈地域研究〉ということ

  

7.イスラーム知識人の誕生


 
クワンタン地方に出稼ぎにやってきたミナンカバウ人の故郷、西スマトラは、クワンタンより100年近くも前にオランダ植民地支配に組み込まれ、18世紀末以降はコーヒー栽培をとおして貨幣経済にも親しんでいた。こうしたこともあって、ミナンカバウはクワンタンの人々より、いろいろな面で洗練されていた。たとえば、学校教育の面では、一般教育、イスラーム教育の両分野において、西スマトラはクワンタンよりはるかに進んでいた。1920年代末になると、村に出稼ぎにやってきていたミナンカバウ商人、ゴム採取労働者の開明的宗教観に刺激され、イスラーム教育のため、子供を西スマトラに送る親がコトダラムにでてくるようになった。西スマトラ遊学組の第一陣が1930年代半ばに帰郷する。彼らは、学校教育を受けたイスラーム知識人として、年齢が若いにもかかわらず、人々の尊敬を集める存在となった

クルアーンの読誦法を勉強している子供たち。こうした勉強も、イスラーム知識人が西スマトラからもたらしたものである。

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