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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第二十回 「環境保全と環境破壊−寡欲と強欲の系譜」
 
 

Contents

1 環境破壊と植民地支配

土地との付合い方
2 雲貴高原の棚田

3 収穫季の棚田

4 新世界の大農場

5 ブラジル東北部のサトウキビ地帯

6 カナダの小麦地帯

林との付合い方
7 産米林−タイ系民族の開拓方式

8 破壊を招いた大規模開発

9 カナダ先住民の林

10 伐採会社の理屈

動物との付合い方
11 インド

12 カナダ

生態破壊の業
13 ラオスの不発弾

14 地球温暖化

  

1 環境破壊と植民地支配

 地球を見て歩いて得た結論は、環境破壊が植民地支配と相似,同根であるということだ。かつて列強は強い武力で弱い国々に寄生し,搾取するシステムを作った。資源と領土の囲い込みは世界に戦火と生命の破壊をもたらした。他方,環境破壊は技術的・形成的自然観と言う武器を獲得した人々が自然を人間だけに都合の良い植民地として囲い込んだ結果である。
 冷戦構造が崩壊した現代と言う時代の特徴は植民地支配と環境破壊が対になっているということだ。その装置は武力に加えて、IMFと世界銀行が担っている。構造調整政策によって熱帯環境と、弱い地域の植民地支配に大幅なコストダウンを実現した。モノ・カネ崇拝で環境破壊の歯止めを取っ払った。1997年のアジア通貨危機はさらに安価な植民地支配の可能性を示したというべきである。農園や工業製品などのモノを一切媒介することなく、アガリだけを掻っ攫う金融商品と言うあらたな武器の威力を試す実験だった。
 対抗する武器はなんだろう?ホー・チー・ミン・が教えてくれた独立と自由を求める強い意思と、ガンディーが教えてくれた寡欲が強欲を打ち破る、この二人のアジア人の知恵だ。

東南アジア地域研究専攻
生態環境論講座

古川久雄
E-mal:furukawa@asafas.kyoto-u.ac.jp