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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第二十回 「環境保全と環境破壊−寡欲と強欲の系譜」
 
 

Contents

1 環境破壊と植民地支配

土地との付合い方
2 雲貴高原の棚田

3 収穫季の棚田

4 新世界の大農場

5 ブラジル東北部のサトウキビ地帯

6 カナダの小麦地帯

林との付合い方
7 産米林−タイ系民族の開拓方式

8 破壊を招いた大規模開発

9 カナダ先住民の林

10 伐採会社の理屈

動物との付合い方
11 インド

12 カナダ

生態破壊の業
13 ラオスの不発弾

14 地球温暖化

  

4 新世界の大農場

 新世界の収穫季の畑は砂漠の景観になる。360度地平線まで剥き出しの土の上に枯茎が散らばる。道路工事の展圧ローラーのようなばかでかいトラクターで耕し、飛行機で播種し、200メーター幅の散水車で水を撒き、ばかでかい機械で収穫をする。農業にあらず、工場である。この風景は欲、利潤、ワールドシステムが作っている。写真はブラジルマットグロッソ州の大農場で、30年前まではモンスーン林だった。先住民のインディオは土地を盗られ、ずっと北の林に囲い込まれた。その居留地は今開拓前線となり、アマゾンの林と共に、風前の灯である。強欲の風景を作る人びとが持続し得る開発を言う不条理がある。