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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第二十回 「環境保全と環境破壊−寡欲と強欲の系譜」
 
 

Contents

1 環境破壊と植民地支配

土地との付合い方
2 雲貴高原の棚田

3 収穫季の棚田

4 新世界の大農場

5 ブラジル東北部のサトウキビ地帯

6 カナダの小麦地帯

林との付合い方
7 産米林−タイ系民族の開拓方式

8 破壊を招いた大規模開発

9 カナダ先住民の林

10 伐採会社の理屈

動物との付合い方
11 インド

12 カナダ

生態破壊の業
13 ラオスの不発弾

14 地球温暖化

  

10 伐採会社の理屈

 ヴァンク−バ−島をヘリコプターから見ると、殆どは造林地に変わり、原生林は極僅かである。残る原生林を伐採会社は切りたくて仕方がない。ヘクタール当り1000立方メートルの材がとれ、1立方メートル40ドル、ヘクタール4万ドルになる。今、対象のオールドグロス林2400ヘクタールを切れば、1億ドルのカネが生まれる。先住民にもトクになる話だと言う。伐採方法は実に荒い。ワイヤーを引いて木をなぎ倒す。根株が跳ね上がり、大きなクレーターが抉られる。鮭の遡上する小川が土で埋まる。枝が折れて木屑が散乱する。木屑は最近までナパーム弾を投下して焼いていた。漁で活きる先住民は崇高なる自然保護など関係がない。生活を保全するために、伐採抵抗運動をやらざるを得ない.伐採する側は方法を工夫し、法律を整備して自然保護に努めたいと言う。形式さえ整えれば済むと思っている。写真は同上の伐採林。