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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第二十回 「環境保全と環境破壊−寡欲と強欲の系譜」
 
 

Contents

1 環境破壊と植民地支配

土地との付合い方
2 雲貴高原の棚田

3 収穫季の棚田

4 新世界の大農場

5 ブラジル東北部のサトウキビ地帯

6 カナダの小麦地帯

林との付合い方
7 産米林−タイ系民族の開拓方式

8 破壊を招いた大規模開発

9 カナダ先住民の林

10 伐採会社の理屈

動物との付合い方
11 インド

12 カナダ

生態破壊の業
13 ラオスの不発弾

14 地球温暖化

  

7 産米林−タイ系民族の開拓方式

 東北タイからラオスのタイ系民族は林を水田に開拓する時、独特の方式で行う。一時に林を伐開せず、少しずつ林をすかして、水田にする。だから水田には木が沢山立っている。建材、薪、若芽の食材利用、落葉落枝による施肥効果、水牛に日陰など、理由は様々だが、優れた土地利用デザインである。パ−クランドのような産米林は見事な美がある。この美は実利が根底にあって実現されているのだが、その実利は人間だけの実利に止まらず、水牛や、鳥や、虫、小動物の実利にもなっている。農民は他の生物にとっての実利が回り回って己の利に戻ってくると信じている。共生の思想というものだ。写真は東北タイムクダハンのプルアンを主にした産米林。