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第214回 「メルマガ写真館」

第215回 「メルマガ写真館」
「船を待つ」
髙橋明穂(アフリカ地域研究専攻)

  この浜で貝割りの仕事見習いをしている。ここでの名前はアミナ。太陽が真上にあがるころ、浜の日よけの下には人がちらほらと集まってきた。浜仕事で使うバケツ、だれが持ってきたのかわからないプラスティックの椅子、そして砂。みんな好きなように座って、楽しくおしゃべりを始める。赤ちゃんをあやしたり、家族写真を見せたり、そうかと思えば誰かがバケツを叩く音にあわせて踊りだす。ふと海に目をやると、鮮やかな船が漁師とトゥファ(貝)を乗せて戻ってきた。それまで浜の少し高いところで座っていた人たちが、腰を上げて船のほうに向かう。いまから浜仕事が始まるのだ。ポシェットをぶら下げた女性が漁師と仕入れ値の交渉をし、貝を待つ女性が丸く円を作って座る。腰まで海水につかりながら、戻る船を次々と陸に引き上げる人。浜仕事にはこまごまとした仕事が沢山あって、彼/彼女らはその時々で自分のふるまいを変えながら、水揚げされたものが滞ることなく次あるべき場所に向かうようにと動いている。“Kaay Amina, doo toj toufa bi?(おいでアミナ、トゥファを割らないの?)”見るより手を動かせ。貝を割る仕事が私を待っている。


(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
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https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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